© 2007 Good Prayers, LLC All Rights Reserved
11月14日(土)より、
恵比寿ガーデンシネマほかにて全国順次ロードショー!
サン・セバスチャン映画祭で最高賞である金貝賞を受賞した『千年の祈り』は、中国で暮らす保守的な老年の父と、祖国を離れ独りアメリカで暮らす娘との絆を、繊細なタッチで描いた珠玉のヒューマンストーリー。代表作『スモーク』で世界的に絶賛を受け、その後も数々の名作を生み出してきた、監督のウェイン・ワンに話を聞いた。
自身も祖国中国(香港)からアメリカへ移住した経験を持つウェイン・ワン監督は、これまでにもたびたび中国とアメリカを舞台に、異なる文化・歴史的背景から生み出される人間模様を描いてきた。「本作のようなテーマをたびたび扱うのは、“テーマをリサイクルしている”感覚です。本作では、やはり最初は祖国を離れアメリカで自由な生活をしている娘・イーランに自己投影している部分がありました。ところが撮影していくうちに、次第に、祖国から娘の安否を心配してアメリカを訪れる父・シー氏の方に、感情移入していってしまったんです」と、自身のアイデンティティと重ね合わせながら、作品をつくり上げていった過程の心の内を語ってくれた。
また、主演の父娘には、本作でサン・セバスチャン映画祭主演男優賞を受賞したヘンリー・O、『ジョイ・ラック・クラブ』以来10年ぶりのワン監督作への出演となったフェイ・ユーが扮し、素晴らしい演技を見せたが、演出に際し、監督は以下のように語ってくれた。「俳優たちを演出するときには、“何もするな”としばしば言いました。“見せたがる傾向を捨てろ”と。何かを模倣するということは、俳優としては良くないことですから」。ゆえに、キャスティングの際には、出来る限りそれぞれの登場人物と似たバックボーンを持つ俳優をキャスティングしたのだという。「もっとも、娘役のフェイ・ユーは昼メロのヒロインを長く経験していたこともあって、演じているとすぐ感情が高ぶってしまって、ウソ臭い演技になってしまうんですよ(笑)。あれを直すのは大変でした」と、撮影の苦労(?!)までも、笑いながら明かしてくれた。
映画をつくるうえで「映画はもっともっとシンプルであるべき」と語る監督は、本作においても、演出だけでなく“シンプル”を重視したのだそう。「オープニングで流れるピアノ曲は凄腕のピアニストに演奏を頼んだのですが、子どもでも簡単に弾けるくらいシンプルですね(笑)」。さらに今日の映画界における氾濫した映画作品に対して、「今の映画は複雑すぎます。シンプルに回帰していくことが大事なのです」と、真剣なまなざしで、今後の映画界のあるべき姿を見つめていた。
とても気さくなワン監督。私があまりの緊張で表情が硬くなっていたところを、朗らかな笑顔で対応してくださり、安心してインタビューに臨むことができました。それから、どうやら監督は甘いものがお好きなようで、インタビュー中、手には某カフェのお茶菓子が。素晴らしいお話とともに、そんな監督の可愛らしい一面も発見できて、大満足なインタビューとなったのでした。(金谷)
(C) 2006-2011 Cinema*Cast All Rights Reserved.