© 「オカンの嫁入り」製作委員会
9月4日(土)より、
角川シネマ新宿ほか全国ロードショー!
初の長編脚本作品『酒井家のしあわせ』で家族の心温まる絆を描いて脚光を浴びた呉美保監督。再び、家族をテーマに、今度は母と子の在り方を描いた最新作『オカンの嫁入り』について、見どころや思い入れなどを聞いた。
■細かなセットへのこだわり
Q:役者さんの演技が、細部までごく自然に見えました。どんなこだわりを持って演出されましたか?
呉監督:この映画は1時間50分ですが、その中で、いかにそれぞれの登場人物がこれまで生きてきた時間を感じさせられるか、台詞の一言一句はもとより、家の中の装飾、食事の内容、身に付けている洋服、全てに「人が生きている」感じを出したくて、スタッフ・キャストのみなさんと話し合いを重ねました。
Q:映画に登場するお料理はどれもおいしそうなものばかりでしたが、なにか惹かれたものはありましたか?
呉監督:桐谷健太さん演じる研二の作ったわらび餅ですね。わらび餅って固いものから柔らかいものまで、いろんな食感のものがありますが、私は口にいれた瞬間蕩けてなくなってしまうような、うんと柔らかいものが好きなので、研二の料理をすべて手がけてくださった辻調理師専門学校の先生に、その旨をお伝えしましたところ、まさに理想通りの、非常に繊細なわらび餅を作ってくださりました。
■大竹しのぶに白無垢を着せて伝えたかったこと
Q:大竹しのぶさんと宮崎あおいさんの母娘という組み合わせは、どのように決めていったのでしょうか?
呉監督:原作の小説を書かれた咲乃月音さんが、大竹さんをイメージしながらオカンの陽子を書かれたらしく、私自身もすんなりイメージすることができたので大竹さんにお願いしました。で、その大竹さんの娘役として、大竹さんに太刀打ちできる役者さんは誰だろうと考えた時に、宮崎あおいさんしか居ないなと。それでお願いしました。
Q:なんといっても見どころの1つは大竹しのぶさんの白無垢姿だと思いますが、どんな演出をされたのでしょうか?
呉監督:大竹さんはずっと白無垢を着るのを「嫌だ、嫌だ」と言っていて、「いやいや、着てくださいよ(笑)」というやりとりが何度もありましたが、さすがは大竹さん、本番では想像以上にビシッと着こなしてくださりました。今回、陽子の白無垢には、あえて現代の白無垢メイクではなく昔の白無垢メイクをしてもらいました。陽子が白無垢を着たかったのが20歳の頃だとすると今から25年前になるので、ならばその当時の白無垢メイクをということで、わざと真っ白な白塗りメイクにしました。と同時にそれは、演出的な狙いとしての白塗りでもありました。
Q:どんな狙いがあったのでしょうか?
呉監督:娘から見た母親の白無垢姿は、決してしっくりくるものではなく、おかしいのだけれど、なんだかとっても愛おしくて、やがて切なさが込み上げてくる、というシーンにしたかったのです。だから大竹さんがすごく綺麗な今どきの白無垢メイクだと、また少し意味が変わってしまう。物語が終わりに進むにつれて、娘の母に対する思いが違ったものになってくるので、その集大成としてのシーンにしたかったのです。
■現代の家族の形を通して見えてくる、監督の願い
Q:これからも様々な家族のかたちを描きたいとのことですが、今後はどんな家族を撮ってみたいですか?
呉監督:『酒井家のしあわせ』も『オカンの嫁入り』も絆であったり、家族の中で大事にすべきものなど前向きなストーリーを描いたのですが、世の中は決してこんな家族だけではないと思うので、愛や暖かさでは片付けられない家族を描いてみたいです。
Q:では、最近ニュースで流れる児童虐待や、お年寄りの孤独死など悲惨なニュースや現代の家族についてはどう思われますか?
呉監督:すごく気になりますね。私は、人と話をするとき、その人の言動から、この人はこんな家族を持っているんだろうな、などと想像する癖があるのです。特に、昔に比べて今の家族は、個々の時間を確保するためにコミュニケーションを怠ってしまいがちな気がしますので、そういう意味では『オカンの嫁入り』を見てくださる方が「家族を育む」ということについて、改めて考えてくださるきっかけになれば、と思っています。
作品の雰囲気にも表れているように、暖かくてとても可愛らしい呉監督。しかし、インタビューでは真摯な瞳で熱く語って下さいました。ちなみに理想の家族像を問うと、監督のご家族とのこと。細かな不安はあれどもこの家族でよかったと最近になって思えるようになったと、笑顔で語ってくれました。(下條)
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