20年ぶりに本国イタリアで撮影し、本作『副王家の一族』で復帰を果たしたロベルト・ファエンツァ監督が、イタリアで有名な小説を映画化した裏話を披露してくれた。
本作は、フェデリコ・デ・ロベルトの小説「副王たち」を基に、19世半ばのシチリア島の名門貴族の姿を描いた人間ドラマ。
父子の確執、権力争い、身分違いの恋など、さまざまな問題を抱えながらも、したたかに激動の時代を生き抜く一族の叙事詩。原作は、かの名作「山猫」にも影響を与えたとされる事実を基にした壮大なスケールの小説だが、意外にもその存在は忘れられていたという。そのことについて、ファエンツァ監督は「家族、教会、国を批判する作品であり、権力から愛されなかった。しかし、この小説は、治癒するために悪いところを映し出すレントゲンのようなもの。そこには希望があると思っています」と、独自の見解を披露。資金の調達に15年かかり、やっと製作にこぎつけることができたそうだが、「(一大叙事詩ということから)製作費が高く、なかなか実現できなかった。また、陽気なイタリアらしい話ではなく、家族や政治に対して批判を描き、誰も救われない話であることが、映画化には高いハードルとなりました」と、映画化自体が困難だったことも明かしてくれた。
また、史実に基づく為に、現代にもリンクさせた部分はあるかという問いに、「ずっと撮ろうとして撮れなかった作品なので、この映画化はある種の挑戦でした。原作自体は過去の物語だが、今を描いている気がする。時代はサイクルし、(イタリアは)枠から逃れられない国だと思います。50年前と同じことが起きていて、むしろ後退している。公開時、右翼左翼からも批判され、今でも論争が起きるほど、恐ろしいものを感じさせる小説。この物語は、衣装や美術という要素を抜かせば現代の物語としても何の問題もなく通用する。信心深いとされるイタリア人は、一方ですぐに離婚をしたりするので信念という概念を理解できないのではないかと思います。そういう意味で、原作者はイタリアの病巣を早くから見抜いた、医者のような存在だったのではないかと思う」と興味深い持論を展開してくれた監督は、本当に原作者に惚れ込んで映画を作ったということを知らしめてくれた。
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