第22回東京国際映画祭で、コンペティション部門に出品された『激情』。本作を鬼気迫るサスペンスに仕上げた監督、セバスチャン・コルデロと、印象的なヒロインを演じたマルチナ・ガルシアに話を聞いた。
本作は、前作『タブロイド』で各国映画賞を多数受賞したセバスチャン・コルデロ監督最新作。殺人を犯してしまった男が、恋人が侍女として働く屋敷の屋根裏に隠れ棲み、電話のみを通じて行う、彼女との歪んだ“遠距離恋愛”模様を描いている。
マルチナ・ガルシアの役どころは、主人公であるグスタボ・サンチェス・パラ演じる南米系移民の男、ホセ・マリアの恋人、ローサ役。パラは、本作のために4ヶ月かけて13kgもの減量したそうなのだが、そんな彼との共演はどうだったのか訊ねると、「グスタボの鬼気迫る演技は本当に怖かったです。彼とは恋人同士の役だったから撮影期間中は極力一緒にいるようにしました。せっかくご飯が美味しいところでの撮影だったのに、朝、昼、晩すべて、パイナップルだけ食べていて気の毒でしたが(笑)」と、可笑しそうに振り返りながら、撮影時のエピソードとともに、撮影以外でも役作りに徹底して過ごしていたことを明かしてくれた。
作中でローサは、ホセ・マリアの存在を薄々感じながらもその事実を完全につきとめようとはしない。コルデロ監督は、本作の主人公2人について「ホセ・マリアは、“家”というもののにおいて屋根裏やほとんど使わない部屋などの、暗い方へと直感的に行ってしまう人物です。一方ローサは素直な女性なので、そういう暗い部分を見ないようにする人物といえるでしょう」と、たがいに正反対のキャラクターを持ち合わせており、だからこそ惹かれ合うものがあったと解説。また、ガルシアも「もし愛するひとが罪を犯してしまったとしても、愛していれば許せると思うのです」と、ホセ・マリアが殺人を犯して逃亡したあと、それでも彼を愛することをやめられなかったローサの心境を語ってくれた。
さらに、キャスティングの理由を訊ねると、「論理的なことではないので難しいのですが……」と、少々言いよどんでから、「ローサ役にマルチナを選んだのは、彼女が内側から来る美しさや輝き、明るさを持ち合わせていたからですね」と、ガルシアが元来持ち合わせている魅力こそが決定打となったと回答。すると、すぐ横でそれを聞いていたガルシアは、嬉しそうに「光栄だわ」と、監督と笑いあっていた。


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