新進映画監督の登竜門とも言われるサンダンス映画祭にて、2008年グランプリを受賞し、翌2009年のアカデミー賞では、主演女優賞と脚本賞にWノミネートされた『フローズン・リバー』。本作が長編デビュー作でありながら、実在するある部族の直面する問題を、女性ならではの視点、繊細なタッチでクオリティの高いヒューマンドラマに仕上げたコートニー・ハント監督に話を聞いた。
本作は、ニューヨーク州とカナダの国境に位置する川で、報酬と引き換えにある犯罪に手を染めていく立場の異なる2人の女性の姿を描いたヒューマンストーリー。サンダンス映画祭で巨匠クエンティン・タランティーノをうならせた衝撃の結末は、多くの女性の共感を誘っている。
自身も子供を育てる母親の顔を持ち、本作の基となった短編作品をニューヨーク映画祭に冗談のつもりで出品したところ、思いがけず好評を得て、長編の製作に着手したというコートニー・ハント監督。そもそもこの作品がここまで人々を惹きつけ、高い評価を受けている理由は何なのか、作品のモチーフとなったストーリーについて訊ねてみると、「夫の出身地が(本作の鍵を握るネイティブアメリカンの)モホーク族の保留地と近くて、様々なものを密輸しているという話や、違法入国者を川を越えて入国させているという話を耳にしていたの」と、監督にとっては身近な題材だったことを明かしてくれた。
とは言え、1人の母親である監督にとって、1本の作品を完成させるまでには多くの壁があったことは想像に難しくない。それでも、現地の凍った川を実際に車で渡り、「川を越えることに、何か非常に惹かれたわ」という監督は、実に10年の期間を費やして、「なぜ女性がこういうことをするのか(犯罪に手を染めるのか)より深く掘り下げたい」と、ドキュメンタリーではなく、あえてフィクションの作品として手がけた。
「主演のメリッサは、一度も“寒い”とか“ジャケット持ってきて”とか言わなかったの。そんな彼女の態度にスタッフが一丸になって、やっと“何でも耐えられる”みたいな空気が生まれたかしら」 と、キャストをはじめ多くの協力があったことを振り返り、「過酷な状況で1番温めてくれるのは、心の強さじゃないかしら」と、本作に登場する女性たち同様、芯の強さを思わせる笑顔を見せてくれた。
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